2026/5/23

5月18日は、全国若手市議会議員の会OB会の研修でした。
宇佐市役所で後藤市長による講演を拝聴した後、市内にある三和酒類株式会社の本社工場を訪問しました。
当日は、三和酒類本社工場を見学させていただいた後、三和酒類株式会社 代表取締役 西和紀さんから、企業経営についての講演を拝聴しました。
三和酒類といえば、やはり大分麦焼酎「いいちこ」です。
実は「いいちこ」は、私も普段からよく飲んでいる焼酎です。
身近な商品だけに、今回の工場見学と講演では、「いいちこ」がどのような環境で造られ、どのような歴史や経営判断の中で全国、そして世界へ広がってきたのかを知ることができ、とても興味深い時間となりました。
三和酒類は1958年、地域の酒蔵が集まって設立された会社です。
当時は、大手メーカーの商品が地方にも広がり、家族経営の小さな酒蔵が単独で生き残るのは簡単ではありませんでした。
その中で、酒造りを続けるために、複数の酒蔵が力を合わせ、営業や製造を協業化していったそうです。
これは、単なる会社の統合ではなく、地域の酒造文化を守るための大きな決断だったのだと思います。
講演の中で印象に残ったのが、「値引きは大地獄」という言葉です。
大手との競争の中で価格を下げ続ければ、またさらに値引きをしなければならない。
そうなると、企業の体力がどんどん削られていきます。
地域企業が生き残るためには、安さだけで勝負するのではなく、商品の価値やブランドの力を高めていくことが大切だと感じました。
三和酒類は、もともとは日本酒を中心にしていた会社ですが、年間を通じて事業を続けていくために、焼酎、ワイン、食品原料など、さまざまな分野に挑戦してきました。
その中で大きな転機となったのが、麦焼酎への挑戦です。
1979年に発売された「いいちこ」は、今では全国的に知られる代表的な麦焼酎となりました。
「いいちこ」という名前は一般公募から生まれたもので、大分県北部の方言に由来しているそうです。
さらに「下町のナポレオン」というキャッチコピーも、多くの人に親しまれる大きなきっかけになりました。
私自身もよく飲んでいる「いいちこ」ですが、その背景には、地方の酒蔵が生き残りをかけて積み重ねてきた挑戦の歴史があることを知り、あらためて商品の見方が変わりました。
また、三和酒類の本社工場周辺は「酒の森」と呼ばれているそうです。
酒造りに欠かせない水を大切にし、自然環境と共生しながらものづくりを続けている姿勢が、この言葉に表れています。
実際に工場を見学すると、単にお酒を造る場所というだけでなく、自然や水、地域との関係を大切にしている企業姿勢を感じることができました。
工場でありながら、自然豊かな環境を守り育てているところも、とても印象に残りました。
一方で、酒類業界を取り巻く環境は大きく変わっています。
人口減少、少子高齢化、若い世代の飲酒離れ、生活スタイルの多様化などにより、国内の酒類市場は縮小傾向にあります。
本格焼酎の出荷量もピーク時から大きく減少しているとのことでした。
だからこそ、これまでと同じやり方だけではなく、新しい飲み方や新しい市場への挑戦が必要になります。
三和酒類では、焼酎のお茶割り「いい茶こ」など、新しい楽しみ方の提案にも取り組んでいます。
水割り、お湯割り、ロックだけでなく、良質なお茶と組み合わせることで、焼酎の可能性を広げようとしているそうです。
また、都市部でのイベントやフジロックフェスティバルへの出展など、若い世代や新しい層に向けた発信にも力を入れています。
伝統ある商品を守りながら、時代に合わせて伝え方を変えていく。
ここに、企業としての強さを感じました。
特に興味深かったのは、海外展開の話です。
三和酒類は、焼酎を日本国内だけのお酒としてではなく、ウイスキー、ジン、ラム、テキーラなどと並ぶ「世界の蒸留酒」として広げようとしています。
ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなど、世界のバーシーンで「いいちこ」を使ったカクテルを提案し、海外のバーテンダーや飲食関係者に焼酎の魅力を伝えているそうです。
焼酎という日本独自の蒸留酒が、世界の酒類市場の中で少しずつ評価されていることは、大分県だけでなく、日本の地域産業にとっても大きな可能性だと感じました。
ただし、海外展開は一社だけでできるものではありません。
西和紀さんの講演では、他の焼酎メーカー、酒造組合、行政との連携、いわゆる「団体戦」の大切さにも触れられていました。
「いいちこ」だけでなく、大分麦焼酎全体の認知度を高めていくためには、企業、業界、行政が一体となった取り組みが必要です。
今回の工場見学と西和紀さんの講演を通じて感じたのは、地域企業が生き残るためには、伝統を守るだけではなく、時代の変化に合わせて挑戦し続けることが大切だということです。
地域に根ざした企業が、地域資源を磨き、商品価値を高め、発信の仕方を工夫し、世界へ挑戦していく。
三和酒類の歩みには、地域経済やまちづくりを考える上で、多くのヒントがありました。
大洲市にも、歴史、文化、自然、食、観光資源など、全国や世界に発信できる魅力がたくさんあります。
地域の強みをどう磨き、どう伝え、どう次の世代につなげていくのか。
今回の全国若手市議会議員の会OB会の研修は、地域産業や地方創生について考える貴重な機会となりました。
伝統を守りながら、変化を恐れず挑戦する。
三和酒類の工場見学と西和紀さんの講演から、地域企業の未来と、地方が持つ可能性を学ぶことができました。
最後になりましたが、工場見学と講演で大変お世話になりました三和酒類株式会社の皆さま、講師を務めていただいた代表取締役 西和紀さん、そして研修開催にご尽力いただいた全国若手市議会議員の会OB会の皆さまに、心より感謝申し上げます。
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ホーム>政党・政治家>中野 ひろし (ナカノ ヒロシ)>三和酒類の工場見学と講演から学んだ、地域企業の挑戦