2026/7/31
令和8年熊本地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
最大震度7を観測し、7月30日午後4時時点でも、熊本市では180か所の避難所に1,006人が身を寄せ、車中泊避難場所も設けられています。断水や濁水が残る中、35℃以上の猛暑が続く見込みです。一刻も早く安心した暮らしを取り戻せるよう、練馬区として可能な支援を行うことを区に求めていきます。
こうした中、区民の方から「練馬区は他自治体への広域避難を準備しているのでしょうか」とお問い合わせをいただきました。
広域避難とは大規模な地震による大火災や、広い範囲での深刻な水害などの際、いま住んでいる市区町村の外や、安全な遠くの地域へ移動して命を守る避難行動のことです。(葛飾区)
被災した方に、水も電気もない場所で暑さに耐えてもらうことも、真冬の体育館で凍えてもらうことも、防災のあるべき姿ではありません。2016年の熊本地震では、直接死50人に対し、災害関連死は225人に上りました。避難した後の環境も、命を左右します。
SNSで目にした「少し被災地を離れれば、電気も水もあり、日常がある。そこへ逃げてほしい」という趣旨の言葉に、私も強く共感しました。
被災地にとどまることだけが避難ではありません。「自分だけ離れてよいのか」とためらう方もいるかもしれませんが、安心できる場所へ移ることも、命を守るための大切な避難です。
練馬区が、避難拠点となる区立小・中学校98校すべての体育館に空調設備を整備したことは、大きな前進です。区は令和7年度までに全校への設置を完了する計画を進めてきました。
一方、多摩東部直下地震では、発災4日後から1週間後に避難者が約13万人、そのうち約8万7千人が避難所で生活すると想定されています。現在の区人口約75万3千人の1割強です。避難所に入らず在宅避難や親族宅への避難を選ぶ方も多く、住宅の損傷や停電、断水が重なれば、車中泊を余儀なくされるおそれもあります。
必要なのは、「体育館に何人収容できるか」だけでなく、一人ひとりが健康と尊厳を守れる環境で暮らせるかという視点です。
練馬区は、友好都市である長野県上田市と災害時の相互応援協定を結び、その中で「被災者の一時受入れ」も定めています。
危機管理課長に確認したところ、誰を、何人、どの施設で受け入れ、どのように移送するのかという具体的な運用ルールは、まだ整備されていません。2026年5月から、上田市の施設活用やルールづくりについて協議を始めた段階とのことです。
協議を始めたことは重要な一歩です。しかし、災害は準備が整うまで待ってはくれません。
区の地域防災計画は、「すべての被災者を避難拠点等に受け入れることが困難なとき」に、協定自治体などへ受入れを要請するとしています。しかし、広域避難の基準は人数だけでなく、猛暑や停電、医療・介護の必要性も含め、避難先で「安全に生活できるか」という観点から判断すべきです。
板橋区は、災害関連死を減らすため、8県13自治体とホテルなどを活用した広域避難体制を整えています。
区全体で2,000人、1自治体当たり50人から300人の受入れを想定し、希望者をバスなどで移送する流れも示しています。平時から協定自治体と交流し、慣れない土地へ避難する不安を減らす取組も進めています。
渋谷区では、ホテル・旅館との協定に加え、助産師、介護タクシー、訪問看護、ケアマネジャー、介護食・幼児食の事業者などとも協定を結んでいます。
避難先となる「部屋」だけでなく、そこでの暮らしを支える人とサービスまで確保する考え方です。
練馬区には、上田市との具体的な運用ルールを整える事や、複数の自治体やホテル・旅館と受入枠を確保すること、バスや福祉車両による移送、費用負担、滞在期間、その後の住まいへの移行までを一体として計画することを求めます。
高齢者、障害のある方、妊産婦、乳幼児のいる家庭、医療的ケアが必要な方が、家族と離れずに避難し、医療や介護を継続できる仕組みも欠かせません。
被災地を離れることは、地域を見捨てることではありません。命を守り、再び暮らしを立て直すための選択です。
「誰を、何人、どこへ、どう運ぶのか」まで決めてこそ、協定は初めて命を守る仕組みになります。練馬区議会で具体化を求めていきます。

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