山本 たけし ブログ

新潟県佐渡市の「学校蔵」を視察

2026/7/31

28日に発生した熊本での地震。
 
熊本県の発表によれば、30日時点での死者は34名、重症者5名。
 
亡くなられた方々には心よりお悔やみ申し上げるとともに、被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。
 
また、行方不明者の捜索や物資輸送にあたる自衛隊、警察や消防、ライフラインの復旧にあたるすべての皆様におかれましては、この酷暑の中、さらにはご自身も被災された方もいらっしゃる中での献身的な業務遂行に敬意を表する次第であり、何卒ご自身の安全も大事にと願うばかりです。
 
そうした思いの中、自分は自分のやるべきことと、昨日は行政視察の2日目。
 
新潟県佐渡市の「学校蔵」を視察してまいりました。
 
佐渡市の説明は不要と思い、割愛いたしますが、学校(廃校)を活用した酒蔵「学校蔵」に至る経緯をまずご説明しますと、きっかけは平成の大合併で10市町村が合併。
 
その後の人口減少も相まって、市内の小学校を約半分に集約する状況の中、2010年に旧三河小学校が廃校。
 
この小学校がある旧真野町(西三川)は、以前は4つの酒蔵があり、現在では佐渡市内の5つの酒蔵のうち、2つが真野にあるということで、「アルコール共和国」と銘打ってまちづくりをしていました。
 
そこで、酒蔵のひとつ「尾畑酒造」の社長さんが、廃校となった旧三河小学校を“酒づくりの拠点”として利用できないかとの話があり、廃校を酒蔵として再生する「学校蔵」のプロジェクトを2014年にスタート。
 
新しい特区制度ができないか、佐渡市から国に相談を続け、2002年には構造改革特区制度 特例措置「清酒の製造場における製造体験事業」が整備され、これを活用(大分県宇佐市も同メニューを活用とのこと)。
 
佐渡市役所にて説明いただいた、佐渡市総合政策課さんのお話しによれば、
 
・2020年5月 内閣府 日本酒特区第1号に認定
・2020年9月 The Japan Times」SATOYAMA大賞受賞
 
など、従来のルールでは、単独60kl以上の清酒を製造しないといけないところ、新たな特区制度により、学校でも清酒を製造することが可能となったことで、酒造りを学ぶ方々が長期間滞在しての「佐渡ファン」育成、リピーター増加などの効果が出ているとのこと。
 
なお、酒造り体験(滞在型)実績は以下のとおり。
 ・令和2年 体験回数 1、人数 3
 ・令和3年 体験回数 3、人数 14
 ・令和4年 体験回数 5、人数 17
 ・令和5年 体験回数 7、人数 23
 ・令和6年 体験回数 7、人数 30
 
体験される方には外国人も多く、母国に帰って清酒造りする人がいたり、学校のプールに設置した再生可能エネルギー(太陽光パネル)で酒造りをするほか、学校蔵で「特別授業」を開催するなど、今では佐渡の発信の中心の地になってもらっているとの評価の言葉もありました。
 
ここまで書いておきながら、実際の視察順は逆で、先に「学校蔵」の現地を拝見したところ。
 

【「学校蔵」の看板が掲げられているのは、旧小学校の玄関】
 
廃校リノベーション「学校蔵」を提案し、手がけたのは創業1892年の老舗酒蔵「尾畑酒造」(代表銘柄:真野鶴)で、この日は先代の社長の娘さんにご説明いただきました。
 
ここでは夏場に酒造りを行っており、「酒造り」だけではなく、学校内の教室をふんだんに活用し、「共生」「交流」「学び」の4つの柱で運営。
 
生物多様性を保全する原材料(カキ殻を利用)と太陽光パネルによる再生可能エネルギーを使った酒造りを行い、副産物の酒粕や麹は、施設内の学校蔵カフェで地元生産者の食材と合わせた発酵メニューとして提供。
 
長期滞在型『酒造り体験プログラム』やワークショップ『学校蔵の特別授業』等では国内外から参加者が集まり、かの養老孟司先生なども講師として登壇されるほか、NTTなど様々な分野の企業も運営に参画するなど、毎年コミュニティが広がっているとの概略説明があった上で、こちらも10数年来、この場所をサテライト拠点とする芝浦工大の学生さんたちがリノベーションした各教室を案内いただきました。
 
以下、学校蔵内の様子を写真にてご紹介します。
 

【玄関を入った案内表示は黒板】

【概要説明を聞く産経建設常任委員。右手の説明者は尾畑さん。】

【芝浦工大と東京大学も拠点を置く】

【特別授業が行われる教室。講師陣は各界トップクラス、参加者は国内外から。】

【その名も「癒しBAR」。窓の外は桜の木。】

【図書室には、酒造り体験のカリキュラムを表示。なお、本はポプラ社など数社が取り組みに共感し寄贈。】

【校内の雰囲気】

【母校の粟野小学校もこんなんだったなぁと思い出す階段】
 
※肝心の酒蔵は、写真撮影を控えました。
 
また、メモをとった、尾畑さんが仰られた「気づきのワード」はこちら。
 
・これまで、26カ国210名以上の外国人が参加
・資源、エネルギー、人を循環させる場所
・学校も酒蔵も“まちのランドマーク”
・両者ともに長くつながるもの
・ここには、数字では表せない価値がある
・色んな人が訪れる場
・尾畑酒造と学校蔵が掲げるのは「幸醸心」
・佐渡の山、川、海のハーモニーを奏でる意味を込めて、学校蔵で造ったお酒は「かなでる/KANADEL」と名付けた
・酒蔵は昔からある古い業界だが、進化している
 
この言葉に、先代からのすべての思いが詰まっていると受け止めた次第であり、まちづくりを考える上で自身も大切にしている「今あるものを最大限生かす」がまさにこの「学校蔵」だと感じました。
 

 
こちらは、最後にご案内いただいた、海に面する角の教室で、同じくリノベーションされたもの。
 
黒板に書かれている文字や絵は、廃校前の児童たちが書き残したもので、以前にここを訪れた卒業生たちが、自分の書いたものがまだ残っていると感激し、今の姿と重ねて写真撮影していかれたとのこと。
 
建物を利活用するに留まらず、こうした思いと歴史をつなぎつつ、国内外に新たなつながりをつくる「学校蔵」。
 
一昨日の三条市では感嘆、昨日は感銘を受ける視察となりました。
 
「空き家対策」も「学校蔵」も、先進的に取り組み、成功している事例に共通するのは、すべて「人」。
 
「地域づくりは人づくり」
 
いにしえからの政治の役割と重なるキーワードを思い、帰路についた次第です。
 
対応いただいた皆様、誠にありがとうございました。

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著者

山本 たけし

山本 たけし

肩書 敦賀市議会議員
党派・会派 国民民主党

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