2026/7/31
7月28日の熊本地震は、死者34人、避難者は406ヶ所9450人(7/30現在)ですが、車中泊の方も多く実数は不明といいます。亡くなられた方のご冥福と被災された方の一日も早い生活再建をお祈りいたします。
また、現地で救援活動にあたられている消防や水道、医療をはじめとした皆さまに敬意を表します。
「10年前と変わらぬ避難所」というが・・・自治体だけでは不可能
今回の熊本地震でも、新聞に「ベッド足りず雑魚寝 トイレに40人」「熊本地震48時間後でも整わぬ「TKB」 10年前と変わらぬ避難所」「改善急務」と見出しがおどっています。T=清潔なトイレ、K=キッチン、B=段ボールのベッドのことで、記事には「段ボールベッドがあったらゆっくり寝られるが、あきらめざるを得ないのか」、「トイレも悩みの種だ。避難所のトイレは断水で使えない」と行き届かない現状が伝えられます。
たしかに現状はそうなのですが、それでは被災した市町村が10年間怠慢だったと受け取られる恐れがあるのではないでしょうか。私は違和感をぬぐえません。
災害関連死が地震による直接死を上回った10年前の熊本地震や大災害となった2年半前の能登半島地震から、学校体育館へのエアコン設置や段ボールベッド、簡易トイレの整備備蓄、トイレカーの導入など全国の各自治体ですくなからず努力が続けられてきました。
大津市も全中学校体育館で停電してもLPガスで稼働できるエアコンを整備、小学校も3年間ですべて整備予定です。トイレカーも導入決定しました。もちろん、水・食料など避難所物品の備蓄やトイレの問題、自主避難所への支援など、課題は山ほどあります。
とはいえ、目指すべき「スフィア基準」(「人道憲章と人道対応に関する最低基準」)をクリアしようとすれば、自治体単独の力では、現在の国の補助制度を駆使したとしても到底不可能です。
自治体と市民の「自己責任」から国中心の災害対策への転換が必要
本来は、国中心の災害対策への転換が必要です。
よく知られている事実としては、2009年に発生し約63000人が家を失ったイタリアのラクイラ地震では仮設トイレが発災当日に届き、暖かい夕食が当日夜に供与されました。簡易ベッド、シーツ、枕と毛布が、冷暖房付きのテントと一緒に翌日までに準備されました。
これは、イタリアが自治体中心の災害対策から市民保護の国家機関を設立し、国が直接関与する体制に移行させ、スフィア基準に基づく避難所の市民保護が行なわれているからです。市民保護省が設立されてからは災害関連死が直接死を上回ることは無くなっているとのことです。
しかし、残念ながら日本はそうなってはいません。内閣府の「避難所運営ガイドライン」(2016/4月)では、スフィア基準は、「『避難所の質の向上』を考えるとき参考にすべき国際基準」と紹介しているだけです。2019年の国会で、イタリアのような防災体制の必要性を問われた安倍首相(当時)は、「最近の大規模災害に際しても十分な機能を果たしたものと認識しており、新たに統一的な組織を設置する必要性は低い」と否定。避難生活も生活再建も自治体と市民の「自己責任」が原則という姿勢は今日も同じです。
青天井の軍事費よりも防災対策に税金をつかえ
今国会で、災害対応の司令塔として2026年中に「防災庁」を設置することになりましたが、どうもイタリア型ではないようです。
これらには莫大な費用と人員体制づくりが必要です。骨太の方針2026で5年以内にGDP3.5% 約24兆円(2026当初予算の2.5倍)へと軍事費(防衛費)を増大させる方針です。1発7億円のトマホークミサイル400発購入や長射程ミサイルを配備をやめて、増額分のうち必要分を災害対策にまわせば、イタリア型の対策は十分可能です。
同時に、新聞記事の中には「各避難所ごとの要求を汲みあけ、それに応じた対応必要」「職員も交替で対応に当たることが必要」とありました。それはもっともで、そうすべきです。
しかし、それができないのは、これまでの自治体リストラ・職員の削減で、今や多くの自治体は職員のうち半数近くが非正規雇用職員になっているからです。災害時には正規職員が出動します。そのもとでは、昼夜問わず奮闘している被災地の自治体職員の代替えが利かない状況は、10年前よりひどくなっているのではないでしょうか。
行政機能が縮小している状態で、「過去の災害の教訓を活かせ」と指摘をされても、教訓を受け止める体制がなく手が回らないのが実情ではないかと思います。
少子化・人口減少時代だから「職員を減らし持続可能な自治体経営」がこの背景にあります。少なくとも、新聞記事の指摘を実行できるだけの正規職員の増員(非正規雇用職員の正規化含めて)も必要です。
生活と人権が保障される避難所を
今後、被災者の方々への支援が長期にわたって必要となってきます。「避難所だから仕方ない」ではなく、「避難所だから生活と人権が保障される」ようにしなければなりません。
大津市も、改めてカギのかかるトイレや避難所の居住スペース、段ボールベッドをはじめとした備蓄品の数量と必要物品の再考と整備、自主避難所への独自支援を強めることが必要です。

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