2026/7/15

先日、市報しものせき7月号を読んでいて、胸に刺さる数字に出会いました。
市内約600社へのアンケートで、「60歳以上の経営者の割合は約55%*」。
全国平均の52%を上回っています。そして、「継いでほしい人がいない・自分の代で廃業予定」と答えた企業が、なんと26%、つまり4社に1社にのぼります。
大丸下関の閉店、商店街のシャッター……目立つニュースの影に、こうした「静かな廃業」が積み重なっているのではないか。そう感じずにはいられません。
市は山口県事業承継・引継ぎ支援センターと連携し、事業承継の個別相談会を開いています。実際に承継が実現した事例もあり、取り組みの意義は確かです。
ただ、開催は**月2回、下関商工会館(市中心部)のみ**。菊川・豊田・豊浦・豊北などのエリアで長年商いを続けてきた高齢の経営者にとって、中心部まで足を運ぶこと自体が大きなハードルになっている可能性があります。対象となりうる事業者の数と、現在の支援体制とのギャップは、率直に言って大きい。
市はすでに骨量測定や法律相談で出張相談の仕組みを持っています。同じ枠組みに事業承継相談を乗せるだけで、大きな新規予算を使わずにアクセスを広げられます。
現行の補助金は開業・承継する側(継ぐ人)への支援が中心です。しかし、事業承継計画書の作成や専門家への相談など、継がせる側が準備段階で負担する費用こそ、廃業を思いとどまる分水嶺になります。ここへの支援が制度の谷間になっています。
建設業や産廃業のような許認可業種では、後継者に経営が移る際に許可の承継手続きが必要です。これを怠ると、事業が止まるリスクさえある。行政書士(手前みそですが)・税理士・司法書士が連携し、相談から実行までをワンストップで支援できる体制を、市が主導して整えるべきだと考えます。
ここで、もう一つ大切なことをお伝えしたいと思います。
私はM&Aの業務実務研修を受けており、その中で強く意識するようになったのが「PMI(Post-Merger Integration=経営統合後のプロセス)」の重要性です。事業承継は、後継者が決まり、契約が完了した時点で終わりではありません。むしろ、その後のほうが正念場です。
新しい経営者のもとで、従業員が安心して働き続けられるか。取引先との信頼関係が引き継がれるか。地域に根ざした事業の文化や強みが、次の世代にも生きているか。これらが整って初めて、「承継が成功した」と言えます。
特に下関のような地域では、従業員の雇用を守ることが、そのまま地域の生活を守ることに直結します。承継後の会社がうまくいかなければ、地域に雇用の空白が生まれる。それは、廃業とほぼ同じ結果をもたらしてしまいます。
支援の枠組みを、「承継を成立させるまで」で終わらせず、**承継後の経営安定・雇用維持まで見届ける体制**へ——これが、これからの下関市に必要な発想の転換だと考えています。
長年、地域を支えてきた商売を、次の世代にどう手渡すか。これは単なる企業の問題ではなく、地域の雇用・文化・つながりを守る問題です。
「継ぐ人がいない」という言葉の背景には、多くの場合、「どこに相談すればいいかわからない」という戸惑いがあります。承継前の不安に寄り添い、承継後の歩みも支え続けること——その両輪があってこそ、下関の経済に本当の希望の灯がともると考えています。
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シライシ ソウ/51歳/男
ホーム>政党・政治家>白石 そう (シライシ ソウ)>4社に1社が「継ぐ人がいない」─下関の商売の灯を消さないために