2026/5/25
GIGAスクール端末更新で見えてきた「倉敷市の将来を見据えた判断」

国が進める「GIGAスクール構想」により、日本全国の小中学校では「1人1台タブレット端末」の整備が進められてきました。
倉敷市でも、児童・生徒が日常的にタブレット端末を活用しながら学ぶ環境が整っています。
コロナ禍をきっかけに、一気に進んだ学校ICT化。
今では、授業での調べ学習やオンライン教材の活用、家庭学習など、タブレット端末は学校教育に欠かせない存在となりました。
しかし、その端末導入から5年が経過し、いよいよ更新時期を迎えています。
5年前の導入時、倉敷市は「購入」と「リース」を組み合わせた
2020年度、倉敷市はGIGAスクール構想に対応するため、
・26,508台を購入
・10,098台をリース
という形でタブレット端末を整備しました。
当時の国の制度では、「購入」は補助対象でしたが、「リース方式」は補助対象外でした。
それでも倉敷市は、あえて一部をリース方式で導入しました。
何故でしょうか。
理由は、「将来の財政負担を平準化するため」です。
もし全てを購入してしまうと、5年後の更新時に再び莫大な費用が一度に必要になります。
そこで倉敷市は、将来の更新費用まで見据え、年度ごとの財政負担をできるだけ均等化するために、一部をリース方式で導入したのです。
これは、単なる“端末購入”ではなく、将来の財政運営まで考えた判断だったと言えます。
今回の更新では、国の制度が大きく改善
そして今回、国のGIGAスクール端末更新制度は大きく変わりました。
現在の補助制度では、
・1台あたり55,000円を基準
・補助率は3分の2
・さらに予備機も児童・生徒数の15%まで補助対象
となっています。
特に大きな変化は、これまで補助対象外だった「リース方式」が補助対象になったことです。
これは自治体にとって非常に大きな改善です。
リース方式であれば、更新費用を複数年度に分散できるため、急激な財政負担を避けることができます。
倉敷市は「全台リース方式」を選択
こうした制度変更を受け、倉敷市は2025年度当初予算に、
5年間のタブレット端末リース料 約8億8,804万円
を計上しました。
これは、市が負担する「リース料の3分の1」にあたります。
残りの3分の2は国の補助となります。
今回、倉敷市は「全てのタブレット端末をリース方式で導入する」という判断を行いました。
これにより、
・更新費用を平準化できる
・急激な財政負担を避けられる
・安定した端末更新が可能になる
というメリットがあります。
自治体財政を考えた場合、非常に現実的で持続可能な方法と言えるのではないでしょうか。
都道府県による一括契約方式へ
今の制度では、国の補助を受ける条件として、
「都道府県が市町村分を一括契約する」
という仕組みです。
つまり、都道府県が業者とまとめて契約し、その契約価格をもとに各市町村が必要な台数を導入する形になります。
これは、
・スケールメリットによる価格抑制
・契約事務の効率化
・地域間格差の縮小
などを目的としていると考えられます。
教育DX(デジタル化)を全国で安定的に進めるための仕組みづくりとも言えそうです。
「予備機15%補助」は非常に現実的
今回、もう一つ注目すべき点があります。
それは、「予備機」が補助対象になったことです。
国は、児童・生徒数の15%まで予備機導入を補助対象としています。
実は、これはかなり現実的な数字です。
2025年度の倉敷市のタブレット端末破損率は、約3.1%でした。
単純計算すると、
3.1%×5=15.5%
となります。
つまり、5年間使用すれば、約15%程度の端末が破損する可能性がある計算です。
学校現場では、
・落下による破損
・キーボード故障
・画面割れ
・バッテリー劣化
など、様々なトラブルが発生します。
そのため、予備機を一定数確保しておくことは、教育活動を止めないためにも重要です。
今回、国が15%まで補助対象としたことは、現場実態を踏まえた制度設計と言えるのではないでしょうか。
GIGAスクール構想は「導入」から「持続可能性」の時代へ
5年前は、「とにかく1人1台端末を整備する」という段階でした。
しかし、これからは、
・どう更新するのか
・どう維持するのか
・どう財政負担を抑えるのか
・どう安定運用するのか
という「持続可能性」が問われる時代になります。
倉敷市が今回選択した「全台リース方式」は、その現実に対応した判断だったと言えます。
教育環境を維持しながら、将来世代への過度な財政負担を避ける。
GIGAスクール構想は、単なるICT整備ではなく、「教育」と「財政運営」の両立が問われる新たな段階に入ったのかもしれません。
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