2026/5/27
練馬区議会議員の富田健嗣(とみたけんじ)です。
先日、少し時間を捻出して、ケン・ローチ監督の映画『オールド・オーク』を観に行きました。劇場はほぼ満席。この作品が扱うテーマに対する、世間の関心の高さを肌で感じる空間でした。
舞台は、イギリス北部の寂れた元炭鉱町。そこにシリアからの難民が到着したことから生じる、地域住民との摩擦と「外国人排斥」の問題を描いた作品です。遠い異国の物語のようでありながら、現代の日本、そして私たちの足元にある地域社会にも通じる、非常に考えさせられる内容でした。
劇中、私の心に深く突き刺さった、あるニュアンスのシーンがあります。
それは、「この町は、外国人が来る前からとうに寂れていた」という事実が突きつけられる場面です。 町が衰退し、人々の生活が苦しくなった根本的な原因は、後からやって来た彼らではない。それにもかかわらず、人は自らが窮地にあり苦しい時ほど、自分より弱い立場にある者(この場合は難民)を攻撃し、排斥しようとしてしまうという人間の哀しい性が描かれていました。
貧困や将来への不安が生み出す「不寛容」。これは決して映画の中だけの話ではありません。社会全体の余裕が失われつつある昨今、私たちが常に直面している現実そのものです。
この映画は、対立がすべて綺麗に解消されるような、明らかなハッピーエンドを示してはくれません。
しかし、絶望だけで終わるわけでもありませんでした。物語の最後には、ささやかな、しかし確かな「連帯」に近いものが生まれつつあることを暗示して幕を閉じます。
明確な答えや安易なカタルシスを用意しない。それこそが、この問題がいかに根深く、一筋縄ではいかない「難しさ」を孕んでいるかの証明なのだと思います。共に生きるということは、魔法のように一瞬で解決するものではなく、泥臭い対話と歩み寄りの積み重ねの上にしか成り立たないのです。
政治に携わる者として、この映画は一つの重い問いを投げかけてくれました。
私たちの住む練馬区でも、外国籍の住民は増加しており、多文化共生は避けては通れない重要なテーマです。「多様性」という言葉で綺麗にまとめるだけでなく、その裏にある言語の壁、文化の摩擦、そして地域住民が抱える不安とどう向き合い、連帯を築いていくのか。
誰もが孤立せず、互いを尊重し合える地域社会を作っていくために。まずは私自身が、弱い立場に追いやられがちな人々の声無き声に耳を傾け、持続可能で寛容な街づくりに取り組んでいかなければならないと、決意を新たにしました。
まだご覧になっていない方には、ぜひ劇場に足を運んでいただきたい一作です。
(練馬区議会議員 富田健嗣)
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トミタ ケンジ/44歳/男
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