2026/6/8
練馬区議会議員の富田けんじです。
本日、令和8年第二回練馬区議会定例会において、新しく就任された吉田区長による初の「所信表明」が行われました。新しいリーダーが、この練馬区という大きな船の舵をどのように取るのか。その最初の海図が示される極めて重要な場であり、私自身も強い緊張感を持って、その言葉の端々に耳を澄ませました。
本日の所信表明を受け、私、富田けんじが率直に感じたこと、そしてこれからの議会でどのようなスタンスをとる覚悟なのかを、ここにご報告いたします。
【懸念】「高すぎる」という言葉の裏にあるべきビジョンの不在
今回の所信表明の中で、私の心に最も重いしこりを残したのは、練馬区立美術館および貫井図書館の再整備計画について、「経費が高額すぎるため白紙に戻す」と明言されたことです。
もちろん、昨今の建設費高騰は無視できない厳しい現実であり、計画の再検討が必要であることは理解しています。しかし、この再整備計画に至るまでには、長年にわたる緻密な議論と、数え切れないほどのプロセスがありました。それを「高すぎる」という言葉で、あっさりと白紙に戻してしまう決断の進め方に対しては、強い疑問と残念な思いを抱かざるを得ません。
区長は「文化芸術は大切だ」と語られました。言葉にするのは容易いことです。しかし、これまで重ねられてきた無数の議論や、文化芸術の未来に思いを寄せていた区民の皆様の熱を、本当に理解した上での決断だったのでしょうか。私には、その言葉の奥にあるべき本質的な思索が見えませんでした。
今の時代、公共施設に求められているのは、単なる「機能」の提供ではありません。それは、誰もがふらりと立ち寄れる「居場所」であり、多様な人々が交わる「交流の場」であるべきなのです。
街を見渡せば、民間主導の再開発が急速に進んでいます。しかし、そうした経済至上主義の街づくりの中で生み出される洗練された空間は、残念ながら、一部の富裕層しか楽しむことのできない排他的なものになりつつあります。だからこそ、行政が主導する今回の複合施設は、そうした時代の風潮に抗うように、誰もが無料でアクセスできる「これからの新しい公共のあり方」を示す、極めて重要な試金石となる計画だったのです。
その本質的な価値を天秤にかけたとき、果たして「本当に高い」と言い切れるのでしょうか。「高すぎる」というあまりに軽い一言で白紙に戻すことが、こうした公共の役割や時代の空気までを深く考え抜いた上での判断なのか。私にはやはり、強い疑問が残るのです。
また、建設費が高騰しているのはこの施設だけではありません。今後、老朽化する数多くの公共施設をどう維持していくのか。「高すぎるからやめる」という結論の先に、これからの練馬区の公共施設全体に対する「大きなビジョン」が見えてこないこと。それが何よりの懸念なのです。
【評価】修学旅行費の無償化。ベーシックサービスへの確かな一歩
一方で、明確に賛同できる力強い方針も示されました。子育て支援策としての「修学旅行費の無償化」に向けた検討です。これについては、率直に高く評価いたします。
私自身、これまで一貫して「誰もが平等に受けられる教育と福祉の無償化(ベーシックサービス)」の重要性を議会で訴え続けてまいりました。修学旅行という子どもたちにとってかけがえのない経験を、家庭の経済状況によって左右させてはならない。この方針は、私が描いてきた理念と真っ直ぐに重なります。この計画が確かな形となるよう、私としても議会の場から力強く後押しをしていく所存です。
期待しているからこそ、求める「確かな羅針盤」
区長が代わり、新しいスタートを切る。そこには確かに「何かが大きく変わるのではないか」という区民の皆様の期待や、ある種の熱気のようなものが漂っています。私自身も、新しい区政の幕開けには大いに期待を寄せている一人です。
しかし、期待しているからこそ、あえて申し上げたいのです。私たちは、その場の安易なムードや、気まぐれに吹く風に、ただ身を任せるわけにはいきません。先の見えない時代だからこそ、練馬の未来を真っ直ぐに見据えた、揺るぎない「ビジョン」という確かな羅針盤が必要なのです。
これは決して、最初から新区長と対立しようとか、足を引っ張ろうといった意図ではありません。練馬という街を、少しでも豊かで居心地の良い場所にしたいという根底の願いは、きっと同じはずです。
だからこそ、「区民の声を聞く」という言葉が、実体のない掛け声として消費されてしまわないように。私は是々非々という立ち位置から、その言葉のずっと深い底にある真意とビジョンを、静かに、そして厳しく問いただしてまいります。それが議会に身を置く私の、決して譲れない責任だからです。
これから始まる議会での真剣な議論に、ぜひご注目ください。
(練馬区議会議員 富田けんじ)
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トミタ ケンジ/44歳/男
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