2026/7/7
釧路市議会議員の木村隼人です。
2026年3月、経済産業省は事業用太陽光発電(地上設置・野立て型)について、2027年度以降の新規FIT/FIP支援を廃止する方針を正式決定しました。2026年度が実質的に最後の申請機会になる可能性が高いとされています。
この決定の土台になっているのが、2025年12月23日に政府(大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議)が取りまとめた**「メガソーラー対策パッケージ」**です。背景には、2012年のFIT制度開始以降、太陽光発電が急速に拡大する一方で、山林開発による土砂災害リスクや景観悪化、住民トラブルといった「不適切事案」が各地で表面化してきたことがあります。
このパッケージは、次の3本柱で構成されています。
つまり今回のFIT/FIP廃止は、この3本柱のうち「3. 地域共生型への支援の重点化」の一部という位置づけです。「規制強化」という言葉だけが独り歩きしがちですが、経産相自身も会見で「新しい技術についてはしっかり応援していく」と述べているように、**太陽光そのものを縮小させる意図ではなく、「不適切な開発を抑えつつ、地域と共生する形の太陽光へ支援をシフトする」**というのがパッケージ全体の趣旨です。
このニュースを見て、「メガソーラー、ついに終わったか」「もうこれ以上開発は進まないだろう」と感じた方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、それは誤解です。国の2040年度エネルギー需給見通しでは、太陽光発電は今後もむしろ拡大が見込まれています。今回はその理由を整理します。
資源エネルギー庁が示す2040年度の電源構成見通しでは、太陽光の比率は次のように想定されています。
| 2024年度 | 2040年度(見通し) | |
|---|---|---|
| 太陽光比率 | 9.9% | 23〜29%程度 |
比率にして約2.3〜2.9倍。決して縮小方向のシナリオではありません。
ポイントは、FIT/FIP廃止は「太陽光をやめさせる政策」ではなく「太陽光がもう自立した証」として扱われているという点です。
地上設置型の太陽光は、入札上限価格を下回る落札が続き、FIT/FIPに頼らずに事業化する案件がすでに増えています。発電コストが下がりきったことで、「支援を打ち切っても事業として成立する」という判断がされたということです。
FIT/FIPという「国の制度に基づく固定価格買取」ではなく、発電事業者と企業が直接契約を結び、市場価格ベースで売電する**PPA(Power Purchase Agreement)**という形態が拡大しています。これはFIT/FIP制度に依らないことから「非FIT」と呼ばれます。
つまり「国の支援」から「企業との直接取引」へと収益構造が移っているだけで、開発自体が止まるわけではありません。
支援が廃止されるのはあくまで地上設置(野立て)型です。屋根設置・自家消費型の太陽光には、引き続きFIT/FIPを含む各種支援が継続されます。工場・倉庫・駐車場(ソーラーカーポート)など、新たな設置場所への展開も国の補助事業(環境省など)で後押しされています。
軽量で柔軟性の高いペロブスカイト太陽電池は、これまで設置が難しかった屋根やビルの壁面にも設置できるのが特徴です。国は2040年までに20GWの導入目標を掲げ、開発・実装支援に税金(国家予算)を投入しています。これは現在の日本の太陽光発電設備全体の約2割弱に相当する規模で、決して小さな数字ではありません。
FIT/FIP以外にも、環境省を中心に太陽光パネルや蓄電池の設備導入費そのものへの補助金(ストレージパリティ補助金、地域共生型太陽光導入促進事業など)は令和8年度(2026年度)も継続されています。中には「FIT/FIPを使わないこと」を要件にしている補助金すらあり、「非FIT」型の導入を国自らが後押ししている構図です。
| 変化する部分 | 変化しない・拡大する部分 |
|---|---|
| 地上設置型のFIT/FIP新規支援 | 屋根設置型への支援は継続 |
| 国の固定価格買取への依存 | 「非FIT」=PPAによる自立的な事業モデル |
| — | ペロブスカイトなど次世代技術への投資拡大 |
| — | 設備導入補助金(環境省等)は継続 |
| — | 2040年見通しでは太陽光比率は約2〜3倍に拡大想定 |
「FIT/FIP廃止」というニュースだけを見ると太陽光の将来が暗く見えるかもしれませんが、実態は「国の直接支援に頼る段階から、市場ベースで自立して拡大していく段階への移行」です。むしろ国の長期見通しでは、太陽光は今後も再エネの中核として拡大が続くシナリオが描かれています。
※本記事は2026年6月時点の公開情報(資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」2025年6月3日資料等)に基づいています。制度は今後も見直される可能性があるため、最新情報は各省庁の公表資料をご確認ください。

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ホーム>政党・政治家>木村 はやと (キムラ ハヤト)>「FIT/FIP廃止=メガソーラーは終わり」は誤解です